「失われた10年が終わり」、日本経済には明るい兆しが見られ始めた。社会の構造も新しい時代への転換が鮮明化している。市場の成熟化、経済のグローバル化、社会の高度情報化などが時代の潮流であることは明白である。そして、地球環境の問題や財政赤字の問題、年金、社会保障、等の政治的、社会的な問題は山積している。
このような時代の潮流と山積する諸問題への対応を考えたとき、関西の中心に位置する大阪にとって、いま、何に最も力を入れて取り組むべきであるか。新しい事業、新しい産業の創造である。そして、それを担うベンチャーの、多数、誕生であり、育成・支援である。
国によるベンチャー支援の施策と体制は、この10年で急速に整備された。新規事業の立ち上げは社会から強く期待された。お蔭で以前と比べると起業は随分と易しくなった。だが、それにもかかわらず、国内の新事業、ベンチャー的経営の担い手は少数である。大阪でもベンチャーの誕生は他地域と比較して決して活発であると言うことはできない。何が問題か。
ベンチャーが首尾よく誕生し成功していくには、人、技術、情報、知識、理論など、もう一つの社会インフラも主体のべンチャーにとって、使い勝手良く提供されていくのでなければならない。残念ながら、わが国の現状は、これが不十分であり不徹底なのである。例えば、既存の企業の職場のように、ベンチャーたちが、毎日、仲間で集まり、夜を徹してでも語り合える場は、どの地域でもあまり提供されていない。これが日本の、そして大阪のベンチャーが低調な理由であると指摘できる。
そこで、この地域でも、ベンチャーが首尾よく誕生し、その後もここに拠点を置き、他からも集まってくるような条件を整備していくために、私たちは何をどのようにしていくか、いろいろと研究し、成果を関係方面に伝えていくことが重要である。
こうして、ベンチャーに関心を寄せる、経営者、支援事業者、学者、研究者、学生、行政マン、金融マン、会社員、等が一堂に集まり、「大阪ベンチャー研究会」を設立し、任意団体としての活動を行うことにした。
大阪ベンチャー研究会 会則 前文より